episode152 ワインとライム

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頭を振りまわす。 髪から滴る水飛沫で濡れたシャツは ぴったりと身体に張り付いた。 「征司様……?」 すれ違う使用人たちが 見てはいけない物でも見たような顔で道を開ける。 ――狂った調教師のお出ましだ。 俺は脇目も振らず 赤い絨毯の真ん中を行く。 和樹の部屋に着くや 乱暴に扉を押し開けた。 中は――暗闇。 こうなることが分かっていたかのように 「どこに隠れやがった?」 もぬけの殻だった。
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