episode152 ワインとライム

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「酔ってるのか?あんな真似して!」 「待て待て。酔ってはいる。酔ってはいるが、あんたの言うあんな真似したのは酒に酔う前だ」 「何だと?」 だったらなおさら悪いとばかり 正義感と愛に溢れた義兄は 足元もおぼつかない俺の胸倉を掴んだ。 「征司くん、君ね――いったい何考えてる?」 本当は一発殴りつけたいところだろうが 九条敬は根っからの紳士だ。 「和樹が大変な時に君が取り乱してどうするんだ?」 拳をおさめ 声を荒げることもせず 努めて冷静に振るまおうとする。
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