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曲が変わると
九条敬はそっと和樹の手を引いた。
「疲れたかい?座ろう」
何も言わない人形を
テラスの椅子に座らせる。
「喉が渇いた?そうだね」
何にも言わないのに
何が分かるんだ。
「ここで少し待ってるんだよ」
ただひとつふたつ瞬きする
伏し目がちの瞳に語りかけると王子様――。
「おやおや」
鞭を手にした危険な男が
和樹の傍にいるのも知らず
「君の好きだったライムジュースを持ってきてあげるから」
席を外してしまった。
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