episode152 ワインとライム

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曲が変わると 九条敬はそっと和樹の手を引いた。 「疲れたかい?座ろう」 何も言わない人形を テラスの椅子に座らせる。 「喉が渇いた?そうだね」 何にも言わないのに 何が分かるんだ。 「ここで少し待ってるんだよ」 ただひとつふたつ瞬きする 伏し目がちの瞳に語りかけると王子様――。 「おやおや」 鞭を手にした危険な男が 和樹の傍にいるのも知らず 「君の好きだったライムジュースを持ってきてあげるから」 席を外してしまった。
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