episode152 ワインとライム

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「知ってるか?おまえのここは葡萄みたいな匂いがするんだ」 しゃぶりつく。 柔らかい果肉を噛み潰すように。 「まだ青い――熟していない」 執拗に責め立ててやれば 「だけど甘い」 それまで一定だった和樹の呼吸が 目に見えて乱れ始める。 「ここが好きだろ?お兄様は――他にもいっぱい知ってるぞ?」 自分に何が起こっているのか 分からない子供みたいに。 背中を反らせ 肩越しに俺を振り返る 潤んだ流し目。
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