episode152 ワインとライム

5/30
前へ
/30ページ
次へ
「いいやまだあるぞ」 和樹に劣らず美しい喉元を 切り裂くように見下げて俺は囁いた。 「俺の目をそんな風に真直ぐ見るな」 今は特に。 自分を抑えられそうもない。 「――殺してやりたくなる」 心の声が 小さな舌打ちと一緒に 緩んだ口端から零れ落ちる。 「恐ろしいだろ?少しぐらい驚いたらどうだ?」 百も承知だって顔しやがって。 腹を抱えて笑った。 そのまま脱力し 崩れ落ちたのは俺の方だった。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

344人が本棚に入れています
本棚に追加