運のご利用は二十歳から

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四葉銀行から一通のハガキが届いたのは二十歳の誕生日を迎えた翌日だった。 宛名も住所も、俺自身で間違いなかったし、何よりこの四葉銀行はバイトの給与振込や家賃の引落で日頃から頻繁に利用している銀行だったから不信感は全くなかった。 だが「親展」と書かれたそのハガキを左下の矢印からぺりぺりと剥がして中の文面を読んだとき、正直言って何のことだかさっぱり理解ができなかった。 『資産運運用のお知らせ』 絶対に誤植だと思った。二十歳になった記念に今流行りのFXの案内でも来たのだろうと思った。 そのままゴミ箱に放り投げてもよかったのだが『資産運運用』という言葉の響きがちょっとだけ面白かったので、一応中身は確認することにしたんだ。 その上で改めて思った。 誤植ではなく、 巧妙な悪戯ではないかと。 明日が土日だったらこのハガキはそのままゴミとして処理されていたことだろう。 だが偶然にも明日は平日で、しかもバイトも休み、更にはこれといった予定もない。もっと言えば友達もいなけりゃ彼女もいない、夢も希望もないフリーター。 駅前でパチンコでもするついでに銀行に寄るくらい全く問題なかった。 もし悪戯だったら教えてあげることで何かお礼の品が頂けるかもしれないし。 そんな軽い気持ちで、最寄駅からほど近いこの銀行に足を踏み入れた俺は今、 銀行奥の個室で一人、見るからに高級そうな革張りの黒い椅子に座らされている。
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