湊さん家の長男と三女 その1

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「ったく、我が家の次女は相変わらずの騒がしさだな……。おーい、もずくー? どこいったー? そろそろ保育園いくぞー?」 「にぃに~!」 「グハァッ!? 予想以上に強い衝撃っ!?」 「……」 「お、おいもずく? そんなに強く顔押しつけられたら俺、動けないんだけど……」 「ぷはぁっ!」 「?」 「……えへへ。にぃに、今日もおとこのひとのにおいがする!」 「おませさんチョップ!」 「うえっ!? も~、にぃになにするの~」 「そういう言葉は、もずくには20年早い。いや、20年でも早すぎるぐらいだ……一体誰に教えられた?」 「ねえたん!」 「蒼空のやつめ……と言いたいところだが、予想通りすぎてなんの怒りも湧いてこないな。でもあとで説教はしないと。もずくが悪い意味でどんどん大人になっていってしまう」 「もずく、大人になるの?」 「深く考えなくていい、もずくには関係があって関係のない話だ。……ほら、それより準備はできたか? そろそろ出ないと俺も学校間に合わないし」 「うん! もずく、もうじゅんびできた! 今日もほいくえんたのしみだな~! えっとね、きのうはせんせいとおりがみのひこうき作ってあそんだの! にぃににもこんど、作り方おしえたげる!」 「そっか、それは楽しみだ。みんなで作って、誰の飛行機が一番飛ぶか勝負しような?」 「うん! しょうぶしょうぶ!」 湊家三女、もずく。 無邪気な愛くるしさと、覚えたての言葉を間違いなく使うまさに神童の中の神童。
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