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「ったく、我が家の次女は相変わらずの騒がしさだな……。おーい、もずくー? どこいったー? そろそろ保育園いくぞー?」
「にぃに~!」
「グハァッ!? 予想以上に強い衝撃っ!?」
「……」
「お、おいもずく? そんなに強く顔押しつけられたら俺、動けないんだけど……」
「ぷはぁっ!」
「?」
「……えへへ。にぃに、今日もおとこのひとのにおいがする!」
「おませさんチョップ!」
「うえっ!? も~、にぃになにするの~」
「そういう言葉は、もずくには20年早い。いや、20年でも早すぎるぐらいだ……一体誰に教えられた?」
「ねえたん!」
「蒼空のやつめ……と言いたいところだが、予想通りすぎてなんの怒りも湧いてこないな。でもあとで説教はしないと。もずくが悪い意味でどんどん大人になっていってしまう」
「もずく、大人になるの?」
「深く考えなくていい、もずくには関係があって関係のない話だ。……ほら、それより準備はできたか? そろそろ出ないと俺も学校間に合わないし」
「うん! もずく、もうじゅんびできた! 今日もほいくえんたのしみだな~! えっとね、きのうはせんせいとおりがみのひこうき作ってあそんだの! にぃににもこんど、作り方おしえたげる!」
「そっか、それは楽しみだ。みんなで作って、誰の飛行機が一番飛ぶか勝負しような?」
「うん! しょうぶしょうぶ!」
湊家三女、もずく。
無邪気な愛くるしさと、覚えたての言葉を間違いなく使うまさに神童の中の神童。
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