湊さん家の長男と次女 その2

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「たのもー! こた兄ぃ、少しいいかー? 部屋に入るぞー?」 「そう言いながら、すでに堂々と足を踏み入れてるよな?」 「わたしな、ちょっとこた兄ぃに言いたいことがあるんだよなー。そう時間はとらせないから、こた兄ぃは今だいじょうぶか? うん、なら言わせてもらおうそうしよう」 「俺、まだなにも言ってないぞ?」 「こた兄ぃとなず姉ぇ、もずくつれて今日買い物にいったよな? 言いのがれはできないと思ってもらいたい。なぜなら今日、三人がなかよく買い物袋をぶらさげて歩いてるところを、わたしはぐうぜんにももくげきしてるからだ!」 「偶然っていうか、完全に俺たちの後追ってただろ。見覚えのあるちっこいのが、目端にちょろちょろしてたのが見えてたんだよ」 「そうだ! こた兄ぃの言うとおり、三人のあとをついていってました! そしてとてもうらやましいと思いました! おわり!」 「いや、普通にそこは声かけろよ」 「なんだか割りこめないふいんきだったから……わたしもつい、きょりを取っちゃったっていうか……」 「空気を読む女子かよ。あと雰囲気な、雰囲気」 「わたしはなー、今日のできごとでひどく心がきずついたんだぞー? ならここはひとつ、こた兄ぃが男を見せて、わたしにあやまってくれればそれで全部かいけつではないか?」 「お前、かわいい顔して結構すごいこと平然と言うよな」 「へ? かわいい? 蒼空かわいい?」 「そこだけプッシュして返すな」 その後、今朝のトマト事件のことを掘り返したら大人しく去っていったのでよかったと思いました。おわり。
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