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「ねぇ、にぃに? このごほんよんで?」
「ああ、いいぞ。むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんが……」
「にぃに、おじいさんとおばあさんってなぁに?」
「おじいさんとおばあさん? えっと……それはあれだよ。ほら、うちにもパパとママがいるだろ? その二人のパパとママってことだ」
「そっかー。つづきよんで、つづきっ」
「おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯をしに……」
「にぃに、しばかりってなぁに?」
「芝刈りっていうのは、草を切るお仕事のことだ。ちょっと違うかもだけど、今はそう思っておけばいい」
「せんたくは?」
「菜沙奈がいつもやってくれてること」
「ねぇねがいつも?」
「ゴウンゴウン……みたいな音出してるやつ」
「あー、もずくわかったー! あのゴウンゴウンっておとしてるやつだ!」
「そうだ、そのゴウンゴウンって音してるやつが洗濯だ」
「そっかー。つづきよんで、つづきっ」
「おばあさんが川で洗濯していると、川の向こうからどんぶらこどんぶらこと……」
「……」
「……もずく? 」
「……すぅ……くぅ……」
「……」
「……くかー……」
「……で、どんぶらこって結局なんなんだ?」
その後、自分の部屋に戻って、夜中までどんぶらこの意味をパソコンで調べたのは言うまでもない。
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