湊さん家の兄と妹たち その1

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「で、ここで火を止めて……っと。よし、あとはこのままあら熱を取って……」 「……なーなー、こた兄ぃ」 「ん? なんだ?」 「もしかしてその料理は、こいびとやらに持っていくものなのか?」 「……は?」 いきなりスルーできない単語が聞こえて、蒼空のほうを振り向く。 「最近のこた兄ぃはどこかおかしいとおもっていたんだ……なんかわたしだけあつかい違うし、おまけにつっこみだってきびしい。……だけど、その疑問も今ようやく解けた。そう、つまりこた兄ぃにこいびとができたのだと!」 「その答えが本当に正しいのかどうか、いま一度、自分の胸に聞いてみたほうがいいんじゃないか?」 「え!? 胸に聞くってなんだ!? わたし、胸ないから聞いてもなにもこたえてくれないと思うのだが!?」 自分の平らな胸をペタペタと触る蒼空をスルーして、置いていたフライパンにあらためて目を向ける。 ほどよく時間を無駄にした会話によって、あら熱を取る作業がちょうどタイミングよく終わっていた。 差し箸を手に取り、フライパンの上の卵をひっくり返そうと、神経を集中させたところで―― 「ねーにぃに、にぃに」 「……」 まさかの第二陣襲来。
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