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「…………」
「……きて、起きて」
「ん……んんっ……。油っこくってもう食べれないっての……だから朝のおかずはシャケにしろってあれほど……」
「起きて、お兄ちゃんっ」
「……はっ!?」
「あ、やっと起きた。もー、さっきから何度も起こしてるのに全然起きようとしないんだもん。朝ごはん冷めちゃうよ?」
「……菜沙奈? あれ、どうして菜沙奈が俺の部屋に……」
「それはね、お寝坊さんのお兄ちゃんを、こうして私が起こしにきてあげたからです。……ほら、寝ぐせだってすごいよ? じっとしててね、ここをこうすれば……」
「……」
「あ、ダメだ。濡らすかクシでとくかしないと直りそうにないかも。ほら、それも含めて早く洗面所いってきて? 私ももう少ししたら学校いかなきゃいけないんだから」
「菜沙奈」
「うん?」
「……おはよう」
「ーーうんっ。おはよ、お兄ちゃんっ」
湊家長女、菜沙奈。
中学生とは思えない家庭スキルを存分に発動して、家事全般と俺の寝坊を防いでくれる、ある意味この家の要的存在。
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