湊さん家の長男と次女 その1

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「はよー……」 「おはよー。こた兄ぃはあいかわらずの寝ぼすけさんだな? またなず姉ぇに起こしてもらったのか?」 「朝弱いんだから仕方ないだろ。ていうか蒼空〈そら〉……お前も毎朝、菜沙奈に起こしてもらってるくせして一体なに言ってんだ」 「ちっちっち、それはちがうぞーこた兄ぃ。わたしの場合、一度起こしてもらえれば、それできっちり目が覚めるからなー。一度起こしてもまた夢の世界に旅立ってしまうこた兄ぃとの間には、それこそ『うんでいのさ』があるのだよ」 「お前、それ意味わかって使ってる?」 「わからん!」 「だと思った」 「あ! 今バカにした! こた兄ぃ、今、蒼空のことバカだってバカにした!」 「もはや馬鹿がゲシュタルト崩壊を起こしそうだ」 「シュガータルト紹介!?」 「あー、菜沙奈の作る朝ごはんは相変わらずおいしいなー」 「ぐぬぬぬぬ……これが『ほうちぷれい』というやつか……。だいたい、こた兄ぃは普段からわたしにだけ冷たいと思う! もずくはともかく、あきらかになず姉ぇとわたしの扱いが違うし!」 「それは気のせいだ。俺はなんの不平等もなく、全員と接しているつもりだぞ?」 「だったらどうして、わたしの苦手な物を食べてくれない!? ほら、今もこうしてトマトをこた兄の前に突きだしているのに!」 「それは好き嫌い克服のために頑張れという俺からの愛のムチだ」 「うん! なら蒼空、がんばってトマト食べる! はむっ……うぷっおろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろ」 「頑張りは認めるが、また俺の平等ゲージが少し変動を見せたようだな」 湊家次女、蒼空。 小学生特有の活発さと人当たりのよさで、誰にでも好かれる元気っ子だが、頭は少しどころじゃないぐらいに残念。
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