骨董屋敷

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骨董屋敷

 うちは近所で『骨董屋敷』と呼ばれている。  死んだじいさんが趣味人で、若い頃からあれこれ集めまくったせいだ。  置き場に困る程で、じいさん以外は家族中うんざり。不謹慎だが、じいさんが死んだら即座に処分しようと家族会議をしたこともある程だ。  だけどじいさんが死んで数か月。まだ骨董は一つも処分することなく置いてある。  手放すなという遺言はなかった。むしろ、二束三文の趣味の品だから、死んだら好きに処分しろとまで言われた。  しおらしいことを言われたせいだろうか。邪魔だ邪魔だと思っていたのに、置かれた品を見るたびじいさんを思い出し、このままでもいいかという気持ちになった。  そんなある日。  じいさんの一年の法要の段取りのため、叔母一家がやって来た。  家の骨董ががらくたばかりなのは承知しているので、叔母達も売っ払って金にしろとかは言わない。むしろ、故人のためにこのままでという考えだ。  だけど、俺の家の面々も叔母達も、小学生の従弟が俺に告げた言葉で百八十度意見を変えた。 「来るたび思うけど、にーちゃんの家って、面白いモンいっぱいでいいね。壺の中覗くと、どれも光る目とかおいでおいでする手とか入ってるし、 あの辺に飾ってある絵は中の奴が動き回るし、お皿とかふわふわ浮くし、すんげー楽しい。あ、でも、あそこの鎧は中の人が怒った顔で睨んでるから怖くてやだな」  …じいさん、いったい何集めてたんだ。  でもとりあえず、今この場で、従弟以外の全員の意見は一致した。  骨董は、明日にも全部処分する。 骨董屋敷…完
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