ドルマという過去

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「わ」 「わ?」  咳払いをして必死に言おうとした。でも、声は出なかった。  もうあんな事は嫌だ。  昨夜の悪夢がじわりとじわりと思い出してくる。  こいつがやりたいのは、私の性器に銃口をねじ込みもて遊ぶことがしたいんだろう。 「ドルマが一番気持ちいいと思うことをしてから、殺してやるからな」  そうして銃口は、やはり性器に向かう。  私は手足を必死にばたつかせて抵抗したものの、昨夜のせいで力が出ない。  そんな時私が思った事は、生きている意味なんてないということだった。  次に転生する時は、戦争のない平和な国に産まれてきたい。  食べ物にも困らず、女性も差別されない平和な国。勉強やお洒落が出来る国。  こんな事がないような夢のような国。  そんな国、あるのかな。  私は抵抗を止めて性器の中に銃口が入ってくることを感じる。  痛くて喚き出したいのに、声はそれでも出てくれなかった。
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