序章。悪夢の始まり。

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その数日後…安藤警視正から告げられたのは異例中の異例であった。今回立ち上げた連続失踪事件捜査本部の解散。警視庁に本件が移り、既に捜査本部が設立されているとの通達。 警視庁長官直下の警視監が指揮し、嘘か誠か自衛隊の精鋭である特殊作戦群も加わっているとの噂も流れていた。此は政府が今回の異様な事件を重要視している事を如実に表していたが… 何れにしても、腰の重い政府にしては余りにも対策が早すぎる。此処まで大袈裟にやっているにも関わらずニュースでは一切報道される事がないのは、政府が報道規制を掛けているとしか考えられなかった。 『安藤警視正、政府は、あの研究施設の存在自体を無かった事にしようとしているとしか思えない。我等は彼等の思い通りに動かされるだけで良いのですか?』 『新井警部…お上の命令には逆らえない、君も長年、警察官をやっているのだから分かるだろ…こうなってしまっては我等には手が出せないんだ…分かってくれ』 既に前に置かれていた捜査本部の看板が撤収された部屋、ホワイトボードの前の椅子に座り俯く安藤警視正の前で拳を握り締め声を荒げる新井警部の姿があった。
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