序章。悪夢の始まり。

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廃遊園地にも最寄り駅が存在してるらしいのだが、其処には既に自衛隊の車輌と思われるJEEPが数台、目的地へと向かうための道を封鎖しているらしく、山道を抜けるルートを選ぶ羽目になった。 整備されていない山道、一応は遊歩道のような物も存在してはいたが、其処には既に迷彩服を着込みライフルを肩に掛けた黒い布で顔を隠した自衛官が巡回していた。 階級称や名前を特定するものが存在しない彼等の迷彩服、顔を隠した布の隙間から見える目は鋭く、かなり過酷な訓練を乗り越えて来ていることが想像できる。 『此方山道第三歩哨から本部此方異常無し』 『此方本部から第三歩哨了解、引き続き警戒を続けろ。』 『了解』 短いやり取りが無線で行われる。定時的に無線報告が行われているようで背中に背負われた無線機械からは傍受されたと思われる定時報告が聞こえてくる。 少なくとも九人の歩哨が此の辺りに潜み警戒を行っているようである。彼等の目を盗み山頂まで登りきると、安藤警視正の言っていた朽ちた観覧車を確認する事が出来た。 『お前ら何をやっている。此処は立ち入り禁止区域だぞ。』 観覧車を確認している二人の後ろから突然声が掛けられる。草を踏む音も立てずに忍び寄ってきた自衛官の手には肩に掛けた筈のライフルが握られていが銃口は下を向いたまま、やはり安易に銃口を向けることは出来ないようだ。
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