序章。悪夢の始まり。

15/21
前へ
/25ページ
次へ
『とりあえず天幕に入れ、群長が話を聞いてくださる。』 開かれた天幕の中には五つのテーブル、各テーブル一台ずつ無線機が置かれており其処に座る椅子に座る幹部が応答していたようだ。 天幕の奥にはライトに照らされた此の土地一帯の地図がボードに貼られ、其の地図を眺めるように年齢で五十代、白髪の混じった短髪の男性が手を後ろに組み立っていた。 テーブルに座っていた幹部達は入ってきた新井達を一瞬、目視したのち何事も無かったかのように定時的に入る隊員の無線応答を行っている。 『さて…君達は何故山に入ってきた?君達警官の乗り込みは明日のはずだが?まさかとは思うが君達は警視庁の人間とは別かね?』 振り返った顔には年齢の割には若く、四十代前半といった印象である。肩に付けられた階級称号は一等陸佐、胸元には群長、山崎薫と刺繍された布で出来た茶色い名札が綺麗に縫われていた。 群長の質問は簡潔でありながら鋭い所を突く、恐らく彼には下手な嘘は通用しないと思った新井は山崎群長に此処に来るまでの経緯を偽りなく説明する。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加