序章。悪夢の始まり。

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『なるほど、だからと言って我等が貴殿方を見逃してやることは出来ない。だがだ、予行演習となれば話しは違う、誰も来ない区域を警戒しているだけでは、隊員の士気も下がってしまう。』 『其処でだ…我等は全力で貴殿方を探し捕らえる、貴殿方は捕まらないように逃げる。簡単に言えば鬼ごっこだ。やった事くらいあるだろ?』 はっきり言って此のまま此処にいても無駄に時間を過ごす羽目になってしまう。新井は直ぐに群長の提案に賛成。当然部下である荒城にも異論は無かった。 『では、きっかり五分後全隊員に無線を流す。さぁ開始まで時間は無いぞ。』 直ぐに天幕の外に走り出す二人の背中を鋭い眼光で見送る群長、椅子に座る幹部達も同様に鋭い視線を彼等の背中を目で追う。それは獲物を見据える獣のようである。 天幕の外にいた二人にも群長との会話が聞こえていたようで勢いよく飛び出してきた新井達を直ぐ様、捕まえるような真似はしなかった。 『本当に宜しいのですか?山崎群長。』 『問題ない、何とでも誤魔化すことは出来る。さて時間だ…群長より各歩哨へ現在禁止区域内に何者かが立ち入った可能性があると近隣警察署より報告があった。銃を所有している可能性がある。速やかに発見、保護せよ。』 無線は山中に潜む全ての隊員に伝達された銃を所有している可能性があると聞いた瞬間、ほぼ同時に肩に掛けたライフルを両手に抱えながら方膝を地面に付け姿勢を低くし、物音を聞き逃さぬよう耳を澄した。
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