序章。悪夢の始まり。

17/21
前へ
/25ページ
次へ
『新井警部…あの特殊作戦群って言ったら…エリート中のエリートですよ…』 『だろうな…だが俺達は戦う訳じゃない…目的地に辿り着来さえすれば良いんだ可能性はゼロじゃない。』 なるべく背の高い草に身を隠すようにして廃遊園地へと、音を立てないように、ゆっくりとしたペースで進む彼等の目に岩影に身を潜める隊員の姿を発見する。 手には双眼鏡が握られており、もし全員が双眼鏡を標準装備とされているのであれば、逃げる側としては非常に辛い状態である。 見つかれば直ぐに無線で応援を呼ばれ仮に逃げきれたとしても、草木に紛れる迷彩服、更に自身の身体に枝を取り付け高度な擬装をしている隊員に待ち伏せされる可能性が高い、此方は黒いスーツ…此の森の中においては不利なことしかない。 目の前にいる隊員は、幸いなことにまだ此方には気付いていない、多少遠回りになったとしても距離を取りながら進んだ方が見付かる可能性は低い。 岩影に身を潜める隊員を意識しながら足音を殺しながら一歩また一歩と進んで行く…が運悪く踏み込んだ足が枯れた枝を踏み乾いた音が響いてしまう。 ザッザッと枯れ葉を踏み締めながら枝の折れた音のする方へと着実に付いてくる足音が新井達の耳に届く。歩いてきている隊員は、かなり警戒しているようでライフルの銃口を、音の鳴ったであろう方へと向けていた。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加