序章。悪夢の始まり。

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『誰か、我等は危害を加えるつもりはない速やかに姿を現せ。沈黙は不可と受け取り拘束する。』 ライフルを構えたまま進んだ先に黒いスーツを発見した隊員、照準を合わせながら近付く、其処には草に被された黒いスーツのみが残され着ていたであろう人物の姿はない。 『此方、第八歩哨から本部、侵入者が着用していたと思われる衣服を発見。人物は発見出来ず。』 『本部から第八歩哨、恐らく周辺に潜伏中と思われる。捜索せよ。』 『本部より第二少隊、第八歩哨に合流し速やかに侵入者を保護せよ。』 『第二少隊了解。』 新井達は隊員が歩く足音に合わせて背の高い草に隠れながら見付からない方向へと進んでいた、僅か数分の出来事であったが二人の額からは大量の汗が頬を伝い地面に落ちる。 無線の内容は小さくではあったが二人の耳にも届いていた。直ぐに此の場から離れなければ探索の為に増員された隊員に見付かる可能性が、かなり高くなってしまう。 焦りは新井達の進むスピードを加速させる。運良く第二小隊は彼等とは反対側に位置していたらしく途中出会う事はなかったが、常に背中を追われているような嫌な感覚が二人の心を蝕んでゆく。
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