序章。悪夢の始まり。

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二人の乗る車は街を離れ、小鳥と蝉の鳴く山の中へと入っていく。数台のパトカーが既に山へと入る為の整備もされていない荒れた道を塞いでいた。 『新井警部御苦労様です。直ぐに此方へ、発見されたのは伊丹三咲二十歳、遺体の損傷が酷くハッキリとは断定出来ませんが財布の中に身分証が入っていました。』 先導する警察官が急ぎばやにビニールシートに囲われた死体の発見された現場に入っていく。既に検視官数名が遺体の状態をメモに取りながら調査してる。 『あぁあぁ~こりゃ凄いね…同じ人間が出来る所業じゃないよ?目玉は抜かれ糸で縫い合わされ、内臓も殆ど抜き出されてるね…暴力団ですら此処まで徹底的にはやらないねぇ。』 マスクをした検視官が頭を掻きながら立ち上がり、警部の前に立ちマスクを外し語る。マスクの下には、うっすらと髭が生え、まるで今起きたような、とろんとした目をした四十代の男だ。 『死因は分かったのか?』 『いやぁ~詳しく解剖してみないことには何とも…まぁ痛みによるショック死ってのが濃厚だろね。薬物を射たれた痕跡もみた感じではないからねぇ。』 暫く周辺調査を実施したのちに、遺体は病院に搬送、検視官による司法解剖が行われる事になる。遺体の周辺から彼女の所持品と思われる携帯電話、手提げポーチが発見される。 最初に見付かった財布の中身に然りポーチに然り何かを抜き取られた様子もない。死体を遺棄した人物は危険思考の快楽殺人者である可能性を警官達の脳裏に過らせた。
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