act.1 異世界に行ったら俺の親友が女体化した件。

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「ねえ。ねえってば」  澄んだ声が朧気な意識を叩く。 「そろそろ起きなよ。遅刻したいの?」  やや棘のある言い方だった。焦れったくなったのか、声の主はゆさゆさと俺の体をゆさぶっている。 「…………。あと5分」 「それ、さっきも言ってたよね。もう15分は寝かせてあげたんだから、いい加減起きてよ。いや起きろ」  遂に布団を剥がされ、挙げ句には頬まで引っ張られた。これには睡魔も退散して、俺はさっさと寝台から飛び起きた。 「いででっ……! 朝っぱらからなにすんだよ、由希」 「こっちは必死で起こそうとしてあげてるのに、幸せそうに寝ちゃってさ。当然の報いだよね」  俺が恨みがましい視線を向けると、由希はそれ以上の形相でこちらを睨んできた。流石に反論できなくなって、小声で「ごめんなさい」と詫びる。ちくしょう。 「いいからさっさと制服着て。……ああもう、それにしたって酷い寝癖だなあ。ここまで来ると芸術的価値すら感じるよ。ほら、直してあげるから後ろ向いてなって」
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