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「それで、6人でしたっけ」
「ええ。」
席についたところで
改めて今回の依頼内容をきく。
「バレー部の安部さんと溝口さん、
どちらも同学年の方です。
あと、卒業した奥田先輩と北村先輩、
2年の黒木さんと、
昨日の―有田さん。」
「確かに多いですね。
バレー部のその二人って、なんか問題があったんですか?」
「いいえ。特に部活でも問題もないですの。皆さま仲も良いし。 」
「ふむ。その先輩たちは・・・」
「文化祭の手伝いにきていただいていた期間中に亡くなられたんです。奥田先輩はマンションから飛び降りて、
北村先輩は薬を大量に飲まれて亡くなられました。
お二人とも仲が良くてらっしゃったのに。」
水田さんがたんたんと教えてくれる中、
僕はうっすらと冷気を感じていた。
僕の力では、
見つけた霊を取り込んで浄化させることしか
できないんだけど、霊のいる場所ってのが、
「寒さ」とか「冷たさ」でわかる。
死の匂いっていうんだろうか、
気配とでもいうんだろうか。
確かにそれがここには充満している。
ま、どうしたって、
死者の話をするとどうしても呼んでしまうのだけれど。
「おい」
公大が気づく。
「ん。」
ゾクン。
冷気を感じて身構える。
(パチン。)
1回指をならし。
(パチン。)
浄化させて次に身構える。
「んあっ?」
拍子抜けするほど簡単に気配が消えた。
公大が、ちらっと僕を見る。
いや、僕は失敗してないからっ。
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