リンドウ

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バンッ! 少女たちの背中に白い雲がはりつく。 (あーー。 そりゃね、あんな話しとけば。 「ヨぶ」よね。) 僕はため息をつきながら立ち上がった。 「あのー、君たち。」 「??」 アイスの棒を右手にもって話しかけた僕に、 おもいっきり不審な目を向ける少女たち。 「なんですか?」 敵意を隠そうともせず、 一人が答える。 「あ、背中に何か憑いてますよ」 「え?」 真ん中の少女の背中を指差してそう言うと、 少女たちの視線がそちらへと向いた。 (パチン) その隙に僕が指を鳴らすと 白い雲がいやいやするように蒸発する。 「ちょっ!湯気でてない?」 「なにー?」 「えーやだーこわーい。うけるー」 笑いながら3人は、 もう僕のことなど忘れて歩き出した。 「―何がウケるんだか。」 ボソッとつぶやく。 右手を開くと、白い塊がうっすらと浮いている。 (パチン) 指をならすと、 白い塊はシュンと消えた。
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