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私はいつも夜遅くに起きて、朝に眠る。
進太郎のベッドで。
進太郎の体で。
進太郎のパソコンで小説を書き、進太郎が作ったご飯を食べ、進太郎に手紙を書き、進太郎の部屋の窓から朝焼けを見、進太郎のベッドで眠る。
雨や曇りの日はない。いつも晴れ。
進太郎によると、私は夕焼けがあった次の日の晴れの日だけ現れるそうだ。
私(が現れた日)は毎日欠かさず日記を書くから、それでわかるそうだ。
一方、進太郎は、夕焼けがあった日だけ書く。
だから、ほとんどすれ違いはない。
晴れの日だけ現れるのがなぜなのかはわからない。
でも、朝焼けを見ると、どこか、懐かしい気持ちになる。
オレンジの優しい光。
どこか物悲しく、時々苦しくなる気がする。
もしかすると、私は私が私である前、私は別の私として、生きていたんだろうか。
進太郎の体に来る前、一人の人間として、女として、生きていたのだろうか。
とても不思議だったので、ノートに書いた。
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