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「きょ、う、こ、さ、ん」
彼が出逢って初めて私の名前を呼んだので、驚いて目を開けてしまう。
「はい」
「ず、と、ず、と、か、が、て、ま、た…」
辿々しくとも何かを伝えようとしている。
「ぼ、きょうこ、さん、こと、きです、けこ、してくだ、さ…い」
結婚して下さいと言ったのか?
「でも私、病気だし、それに後……」
「い、しょ、なる、に、じょ、けん、て、い、ま、か?」
病気で寿命も短いのに、彼はそんな条件は必要ないと言ってくれた事はとても嬉しかった。
私は、首をゆっくり横に振り努めて笑顔を見せると、
「はい…私でよければ」
「あ、り、が、と…う」
彼は私の唇にそっと唇を重ね合わせた。
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