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「…っ、くすぐったかっただろ…」
少し顔を赤らめて、こいつは困惑したような顔をした。
…あ、そっか。
こいつ、こういう刺激すら、耐性がないんだ。
そっか、そっか。
…そっか。
「…なぁ、本当に、俺でいいの?」
「ん?」
一瞬、不思議そうに顔を少しだけ横に傾けたが、俺が言った意味をすぐに理解したのか、こいつはうん、と可愛く頷いた。
「俺は、お前に何気に触れられただけで、心がぎゅってなる。」
そして、俺の目を覗き込んで。
「それって…お前がいいって、ことなんじゃないのかな?」
…あれ?
それから俺たちは、どうしたんだっけ?
俺はこいつに、なんて言葉を返したんだっけ?
思いだせない。
…ただ。覚えているのは。
こいつを思い切り抱きしめて、まるで女を抱くように
優しく、優しく、”初めて”を奪い、”俺”を覚えさせたことと。
こいつを、誰にも触れさせたくないという、子どものような独占欲が芽生えたことだった。
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