スイカとキュウリ、それから唇。

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これは。 子供の頃の記憶。 「うまーっ!スイカうまーっ!」 「キュウリもうまいよ。ギンギンに冷えてる!」 「いや、おれはスイカがいいんだよ!」 「こどもだなぁ」 「おまえもだろっ」 縁側に座って、家の前に広がる田んぼや畑を眺めながら、1人と1人はシャクシャクボリボリ取れたてのスイカとキュウリを頬張る。 3時半。 陽射しが眩しい。 「あ、おまえ、口にスイカついてる。」 「え。どこ?」 「左。口の。」 「…あ。ホントだ…うん、あまい。」 大きな口を開けて食べれば、口の周りがベタベタになる。 そんなの当たり前だけど、子供はそんなことお構いなしにやる生き物なわけで。 ベタベタしていても、食べ方を変えることはしない。 「口の周りがベタベタだぁ。」 「キュウリはベタベタにならないよ。」 「キュウリはあまくないもん。スイカはあまいもん。」 馬鹿にされた気分になって、1人はむくれて頬を膨らませる。 「それくらい知ってるよ。」 「じゃぁ、なんでそんなこと言うんだ。」 「本当のことを言っただけなのに。」
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