スイカとキュウリ、それから唇。

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「…言った通りだろ。」 舐められた方は、何をされたか理解できなかった。 でも、とりあえずそう返すことにした。 味見をしたかったんだろうか。 甘さを確かめたかったのだろうか。 「スイカはあまいのがいいんだ。」 「そうだね。あまいスイカはうまい。」 「だろ!おれの口もあまあまだ。」 冗談めかしく1人は言った。 すると、もう1人はまた少しだけ距離を縮めた。 「…おまえの口は、本当にあまあま?」 「…あ、あまあまだ。」 「…味見、していい?」 味見? また、頭の上に疑問符が現れた。 でも、味見したい気持ちはよくわかる。 子供は味見(つまみ食い)するのが好きなのだ。 「いいよ。…ぁ。」 舌を出して、味見を受け入れる準備をした。 子供は単純で無垢だ。 そして…無知だ。 「…いただきます。」 1人は律儀にそう言うと、出された舌をれろ、と舐めた。
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