再会と告白

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咲良さんは、一瞬戸惑った。 少し唇が震えたのを、僕は見逃さない。 「それはあんさんがあないなとこおったら、忘れようにも忘れられへんわ」 「ははは、雪の中で蹲っていましたからね……」 確かにあんな所にいたら、忘れたくても忘れられないか。 でもあまりに見とれてて見逃しそうになったけど、この話になってから咲良さんは震えている。 聞いちゃいけないことでも聞いてしまったんだろうか。 「どうして、わっちの名前がわかったの?」 咲良さんの表情は、さっきまでの優しい顔に戻っている。 気のせいだったんだろうか。 「街では有名ですよ。太夫の美人さんがいるって」 「そうなんですね。わっちの名が……」 次の瞬間、僕の視界は闇に落ちた。 正確に言えば、僕の目を何かで隠された。 クスクス……。 目の前から笑い声が聞こえる。 さっきまでの咲良さんの声であり、咲良さんとは違うようなけたたましい笑い声。 一気に僕の背筋はぞくりとした。 視界がひらける。 ぼんやりと目の前に映ったのは、赤い着物に似つかわしくない狐面の女だった。 「誰……?」 「ふふふ、私ですよ」 狐面を少し右にずらすと、さっきまで見ていた咲良さんの顔があった。 だけど違う。 口端をつり上げて、喉の底から笑っているような気持ち悪い笑いが小さく聞こえる。
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