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コンビニへ買い物へ出ただけ。
の、はずだった。
雨が降りそうな曇り空。
よく冷えた店内から出れば、自分の肌が結露するようだ。
生ぬるい空気のなか、バスが過ぎるのを待って道を渡る。
いつも通りの道で、あとはケータイショップの横を抜けて角を曲がれば家の前。
たぶん夜中でも酔ってても、迷わず帰れる。それくらい単純で、慣れた道。
飲み物を出そうと、袋の中を見ながら歩く。
炭酸飲料を出して、前を向くと。
「……あ?」
目の前は公園だった。
スカスカの生け垣、隅の遊具、枯れた噴水と遊水路。敷地の半分を占める広場。
見慣れてはいる。
というかほぼ毎日見ている。
が、あるのはもっと距離があるどころか、反対方向だ。
見回しても、近くにあるはずのケーキ屋もカラオケ屋も見えず、ただ似たような家並みが続いている。
ペットボトルを開けるのはやめて、袋へ戻す。
「……マジか」
とりあえず呟いた。
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