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見た目はよく知った場所だからか、驚きこそすれ、そんなに動揺はしていなかった。
曲がり角を一つ間違えた。それくらいの気分だ。
でもたぶんこれは、来た道を戻っても、家には着かないやつだろう。
しばらく考えて、後ろ向きに歩いてみることにした。
どうなるかと、おもしろ半分で数歩進む、いや退がる。
と。
「きゃ!」
何か小さいものにぶつかった。
「あ、悪ィ」
さっきよりは相当びっくりして振り向く。
子供が。小学生くらいの女の子が転んでいた。
助け起こして謝ると、リスやうさぎなんかの小動物を思わせる、可愛い子だった。
立ってみると、思ったより背がある。
10歳くらいだろうか。礼儀正しく、ごめんなさいと頭を下げている。
ちょうどそこの角から出てきたところらしい。
服の汚れを払って、怪我はないかときいてみると。
「ね、お兄ちゃんも迷子なの?」
Tシャツのすそをきゅっと持たれて。見上げてくる可愛さにきゅんときて。
オレは一も二もなく頷いた。
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