迷子案内

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   公園のベンチに座り、詫びがてら、コンビニ袋から野菜ジュースのパックを渡す。  女の子は喜んで受け取ると、ほぼ一気に飲み干した。  それだけ喉が渇いていた、と思っておく。  女の子は満足げに息を吐くと、あのね、と切り出した。 「まゆ、ずーっと歩いてるんだけど、家に帰れないの」  公園に遊びに来たのに、誰も居ないし来ないし。  帰ろうと思ったが、いくら歩いてもここへ戻ってしまうらしい。  確かに、広い公園には誰も居ない。 「ケータイは?」 「電波無いの。ケンガイっていうあれ」  持ってるのか。  見せられたスマホは、キッズモデルでもなく、通常仕様のようだった。  確かに、画面の隅には「圏外」の表示が出ている。 「地図もね、使えないの。GPSも」  言いながら、画面を触っていろいろ試している。  最近の子供は、使いこなしようが違う。  自分はもはや、GPSが何の略かも分からないというのに。 「……誰にも、会わないって?」 「うん。友達と遊ぶ約束してたけど、おけいこで遅くなっちゃったから。だれも居なかったんだー」  喋りながら、その友達と連絡を取ろうとしているらしい。  が、すぐに画面をおとしているから、諦めたようだ。  
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