木立闇

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   いろいろ言い訳を考えながら、そうっと体の向きを変える。 (……ちょっと待て)  来た道の影は、道路へ焼き付いたように動いていない。  風なんか、吹いてない。  流れる汗が、すうっと冷たくなる。  じゃあ、あの、揺れてた影は何だ。  泣く声が止んだ。 「……だぁれ?」  子供の、声変わりする前の、高い声が聞こえた。  振り返ったら駄目だ。  息も出来ないまま、走り出した。  
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