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しばらく街並みを歩いた後、急に細道に入った。
その後、森の中を縫うように進むと急に開けた場所が見えた。
そこのちょうど中心部。少し丘になった頂上付近に寂れた一軒家が見えた。
「ここは・・・?」
「私の家ですよ。」
なにか前にも見たことがあるような・・・。
気のせいだろうか。
クロに連れられ中に入るとなんてことない普通の一軒家だった。
そのせいだろうか、やけに新鮮味がない。
何やらクロはクローゼットや物置をいじっている。
どうやら荷物を取りに来ただけのようだ。
「二階・・あがっててもいい?」
「はい。どうぞ。埃になってるかもしれませんが。」
僕はゆっくりと二階に上がった。
「こど・・も・・部屋?」
部屋の前に名前を書いた表札のような物がついている。
「R・・・・。読めないや。」
Rと書いてあるのはわかるが、それ以後はかすれて見えない。
なにか呼ばれたような気がして、ゆっくりと中に入った。
勉強机、魔法士のローブ、靴など魔法士の子供が貰う一般的なものがそこには置いてあった。
それと、、机の上に写真立てが一つ。
恐る恐るその写真立てをのぞいてみる。
「なに・・・これ・・・・。」
そこには自分が写っていた。
それと、もう一人の人物がいたであろう形跡も。
それが誰かはわからない。破られてみることができないのだ。
だけど雰囲気から、何か懐かしい人、思い出すべき人なのはわかった。
僕はなにかヒントになるものはないかと思い子供部屋を出て、隣の部屋に入った。
そこは書斎付きの一般魔導士、というにはいささか勉強熱心な人の部屋だった。
見たことのある初級の魔法書から何やら難しそうな見たこともない魔法書まで、ずらりと並んでる。
机の引き出しを開けてみる。
そこにはかつて魔法を使うために使用したであろう短剣と一冊のノートが入っていた。
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