第一章 黒い化け物

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あぁ、魔法について言ってなかったね。 通常は金属の棒みたいなものを使って魔法を使役するんだけど、最近多いんだ。剣を使う人。それなりにスキルがいるし、ある程度強くないと魔法が分散して危ないんだけど。 まぁだけど、魔法を使ってるとき以外は無防備になるから、最近はある程度の魔法士、と言っても中級以上、チームを組まなくても雇ってもらえるレベルの人は剣を使ってる。 昔と違ってだいぶ安定して魔法が使えるように剣のほうを調整してあるんだけどね。 ちなみに僕は、最近剣を使い始めようか悩んでるんだけど。 そんなことを思いつつ、剣を手に取る。 「これは・・・。」 一世代前のものだ。火力は出るが調整が難しい。使いづらいが故に今では使う人はほとんどいない。 「まぁ、これでもいいか。」 ちょうど剣を使ってみたかったんだ。 それにどうせ使うなら世に出てるような魔法の威力が出ないのじゃなくて、しっかり威力も出るやつがいい。 なんたって、魔法士なんだ。剣士じゃない。 最近の魔法士はまるで剣士じゃないか。と世の中に不満を持っていたリクにとって、これは思ってもみない出会いだった。 剣のほうに満足すると、本棚の魔法書をあさり始めた。 「これは、初級だし、どうせなら剣の扱いについて書いてあるものがいいな。おっ。」 そういいつつ手を伸ばしたのは昔の剣についての解説書だった。 「丁度いい。これにしよう。」 その本をリュックにしまおうと本棚から抜くと同時に何か違和感を覚えた。この本、思ったより短くないか? 本棚の幅はあるのに本の幅と合ってない。確かにぴったりはまってたはずだ。 変に思って覗いてみると、本があった奥の壁にそうようにもう一冊、何やら難しそうな黒い本が隠してあった。 「なんだ・・これ・・。」
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