第一章 黒い化け物

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ネイトについた僕らは早速その師匠とやらを訪ねた。 師匠の家は滝の落ちる岩場のすぐそば、水がギリギリかからない位置にあった。 「すみません。」 クロが扉を叩きながら声をかける。 「なんだい。今忙しいのだがね。」 しゃがれた老人の声だった。 扉を開けると老人は驚いた顔でクロを見た。 「どちらさまかね。」 「少しお話しよろしいですか?」 「あぁ、入ってくれ。」 中へ入っていく2人の後を追って入ろうとした僕だが、当然嫌な予感はしていた。 「リクさんはここで。」 あーはいはい。わかってるよもう。 小さく頷き素直に従った。 なにやら2、30分程話していたようだが、すぐに中に呼ばれた。 「お主が剣術を習いたいと?」 「はい、そうです。」 「そうかい。お主剣は?」 「これです。」 僕はさっきクロの家から持ち出した剣を静かに机の上に置いた。 「ほぅ・・・。」 師匠は悲しそうな目でその剣を見つめていた。 そしてなぜかやけに納得したように頷いた。 クロは剣を見て少し顔をしかめたが、怒ってはいないようだった。 「お主、この剣のことはわかっておるのだな?」 ここに来る途中、説明の書かれた本を何度も読み、頭に叩き込んである。 「はい。火力は出るが、今のものより扱いづらい。ですよね。」 「そうだ。それをわかった上でつかうのだな?」 「もちろんです。」 「うぬ。結構。わしはグラムという。手を抜くつもりはない。ついてこれなくなった時点で帰っていい。」 「わかりました。僕はリクといいます。よろしくお願いします。」 相手は老人だったが、ただならぬ雰囲気を察し、自然と背筋が伸びた。 それを見ていたクロは何やら微笑ましいような、心配そうな、難しい顔をしていた。 「今日は長旅で疲れただろう。ゆっくり休め。修行の間、この家で寝泊まりするといい。」 「「ありがとうございます。」」 クロとぴったり声が重なった。
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