第一章 黒い化け物

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朝目が覚めたら知らない施設の中にいた。 それですぐに、両親が死んだって聞かされた。 何言ってるかわかんないって言われても・・・。 僕だって君と同じ気持ちさ。 ちょっと胸のあたりがちくちくするだけで。 「君は今日からここで過ごすんだ。食事も風呂もある。ただ少しお勉強をしてもらう。君は魔法士の素質がある。」 僕の父さんは立派な魔法士だった。 けど、少し優しすぎたんだ。仲間をかばって死んだんだって。 父さんはいつも優しい笑みを浮かべて、僕が困ったときはいつでも優しく導いてくれた。 だけど、そんな父さんはもういない。 正しい方向に導いてなどくれない。 それどころか声すらかけてくれない。 顔を見ることすら叶わない。 そんな思いを抱えながらそこでしばらくの時を過ごした。 その日はちょうど僕の10歳の誕生日だった。 僕はそこから逃げ出した。 嫌になったわけじゃない。 大人の人たちが話してたのを聞いてしまったんだ。 「おい・・。そろそろだろ?」 「あぁ、隣国と戦争だってな。こいつらもかわいそうだよな。何も知らずに死にに行くなんて。」 「どうせ捨て子や孤児だろ。構うもんか。」 「それもそうだな。」 「「はっはっはははは・・・・」」 それまで僕の居場所だったそこは一瞬で僕の牢獄と化した。 こんなとこにいちゃだめだ。 その夜、一人で黙ってそこを抜け出した。 「はっ・・はっ・はっ・・。」 あと少し。あと少しで出口だ。 どうやら今までいた場所は洞窟の奥の開けた土地みたいだった。 もう少しで洞窟を抜ける。 そう思ったとき、僕は何かとぶつかって転んだ。 「大丈夫ですか?」 まるで化け物のようなお腹にズシリと響く声だった。 だけどその中に、なにか優しい響きを感じた。 気のせいだろうか。 前を見ると、何か異様にどす黒いモノが僕に手を差し出していた。 「君は、、、、ナニ?」
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