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洞窟を抜けると、外でクロが待ってくれていた。
「リク、遅いぞ。」
「え・・・?」
初めて名前で呼ばれた、、それに、、この呼び方、、。
僕の頭の中で何かが引っかかった。
けれどもそれはクロの言葉にかき消された。
「どうしたんですか?」
「あ、え、いや。何でもない。」
妙な違和感が残ったが、それ以上考えるのはやめた。
それから山を越え谷を越え、暴風雨の中を越え、やっと目的の街についた。
「・・・・・あのリクさん。」
「え?なにクロ。」
「そんなに越えてないと思うんですが。」
どうやら声に出してたみたいだ。
「と、とりあえず、街についたけどどこに行くの?」
僕は強引に話を逸らす。
「その方は魔法士ギルドにいると思うんで一度魔法士ギルドへ。」
魔法士ギルドか、地図によればここの東らしい。
魔法士ギルドの中に入る前にクロに深緑のローブを渡された。
クロとおそろいだ。
理由は中に入ってみるとわかった。
みんな同じようなものを着ているのだ。
ギルドの中は吹き抜けになっていて、二階にへやがいくつかあった。
クロと僕は一階をぐるりと一周して入口付近に戻ってきた。
「クロ?なにやってるの?」
「それでは、行きましょうか。」
「え、どこに?会いたかった人は?」
「はて、もう会いましたよ?それにここではなんですから、ほら、家にこの時間にと。」
そういってメモのような紙切れを見せてくれた。
「こんなの・・・・。いつの間に?」
「先ほどすれ違った時に。なにせここでは私の存在は明かせませんから。仕方ないですね。」
そういうクロの目はやけにさみしそうだった。
「わかったよ。それまで飯でも食べてよう。買ってくるよ。」
「ありがとうございます。では、あの木陰で待ってますね。」
しばらくして、マッシュポテトで肉や野菜を包んだおにぎりのようなものを買ってきてクロと一緒に食べた。
「そういえばクロ。聞いてなかったけどなんでクロはこの旅をしてるの?」
「旅の目的ですか?そうですね、"ある場所"に行くため。とでも言っておきましょうか。」
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