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無様に鼻を啜ると、いつの間にか浅間がバスタブのそばに座り込んでいた。
「なんでまた僕なんか・・・・・」
浅間の顔は「君みたいに若い子がなんで」とでも言いたげだった。
「わかりません・・・・・」
私は本当のことを言った。
なぜ浅間のことが好きなのか、今でもわからない。
「好きです・・・・・」
私は浅間を見つめた。
揺れる瞳で、浅間が迷っているのがわかった。
大きな手が、泣いている私を慰めるように濡れた頬を包む。
今度は私が甘えるように、瞼を閉じて頬を浅間の手にゆだねる。
何度も「好き」と言う私の言葉を、浅間は唇で塞いだ。
お互いを食らうような口づけだった。
抑えていた何かをほぐすかのように、唇を貪った。
浅間の首に回した腕をそのままバスタブに体ごと引き込む。
水しぶきが上がり、浅間の体の重さで再び湯が溢れる。
皺だらけだったシャツは、私のせいで濡れて冷たくなっていた。
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