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妊娠が発覚し、高校中退して出産し、籍を入れた。
が、それから3年ほどして、浮気され離婚した。
両親から勘当され、頼る友人もおらず、孤独なシングルマザーになったのは、21才になった時だった。
高校中退の子持ち女の職は少ない。
そんな現実の厳しさと孤独に耐えながらの生活で、精神がかなり弱かっていたものあった。
彼女の優しさにどっぷり浸かってしまったのは。
隣マンションに住んでいた彼女とは、お弁当屋で出会った。
実家の手伝いをしていた彼女は、1人分しか買わない私を見て生活苦を察したのかおかずをオマケしてくれた。
そして、近所に住んでいるのに気付いた彼女が気さくに話しかけてくれ、身の回りの世話を焼いてくれるようになったのは、すぐで。
稼げる夜の仕事を始めようとした時、子供の面倒まで引き受けてくれた。
そんな家族のような協力を惜しげも無くしてくれた彼女。
高卒の卒業資格をとる方法も調べてくれて、働きながら得ることが出来た。
そして一般企業の事務員として正社員につけた時には、娘は中学生になっていた。
本当に頭の上がらない存在で。
娘もまるで姉のように懐き、慕っている。
が、そんな恩を仇で返すかのような感情が、私には芽生えていた。
淋しさに耐えかね、何度か彼女に身を任せ抱かれた事がある。
そこに私の愛はなかった。
が、気付いてしまった。彼女の愛を。
特別に大切にされている事を。
直接言われた事は無いが、その無言の愛情に、私は押しつぶされそうになっていた。
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