私と教授の◯◯な話

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一方、杉戸さんはそんな私を見て、困ったような、それでいて穏やかな表情になった。 「冬真くん、僕はね……君が思っているよりもずるくて、偏屈で…自分勝手な人間だよ。僕もね……、君のことが好きだよ。一緒に食事をしたり、出掛けるのは楽しい」 「私も、同じです。私も楽しいです。私は、杉戸さんと一緒に過ごす時間は…とても価値のあるものなんです。家族愛…とは少し違います。もっと緻密な…」 「君の言いたいことは、そうだな…僕にも説明できるかもしれないし、出来ないかもしれない。でも、…」 杉戸さんは優しく微笑んだ。 「夜はまだ長い。君は意外に僕のことを知らないだろう?君が見てきた、今までの情報は断片的なものだったかもしれない。ゆっくり、ゆっくり話すとしようじゃないか。講義じみてしまうのには目を瞑って…これからの、僕たちの話もね」 私は目を見開いた。 そして、じんわりと満たされていくような心持ちがした。 夜は長い。いつの間にか自分も好きになっていた紅茶を飲みながら。 ---- end
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