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「うちのマンション、広いし、部屋も余ってるんだ。家賃は家事をやってくれれば払う必要はない。君にとってもいい話だとは思わないかい?」
くるりとこちらを向いて、杉戸教授が微笑んだ。
家賃がタダとは、ひどく魅力的だ。
ほぼ初対面の人と暮らすのには普通は抵抗がある。
しかし、教授には初めて会った気がしなかった。それに、一番は雰囲気の暖かさに自然と惹かれた。
この人なら大丈夫だ、と根拠のない確信的な直感。
一応渋る兄のためにうーむと考える素振りをしてから、私は大きく首を縦に振って快諾した。
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幸いにも、杉戸教授の住処は自分の大学の最寄りに近かった。
そして、大型スーパーも近隣に。なかなか住みやすそうだ。
あの後、教授に鍵をもらった。鍵には小さな鈴が付いた柴犬のキーホルダーがついていて、思わずふふっと笑ってしまった。可愛い。
渡された簡易地図教授の住んでいるマンションの前に辿り着くと、目をぱちくりせざるを得なかった。
でっかい。
地図に再び目を落とすと、細く右に斜めっている字で七階と書いてある。
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