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白く濃い霧の中を誰かがゆっくり歩いて来た。 その誰かが立ち止まる。 こちらを見ると覗き込むように話しかけた。 「ねえ君、どうしたの? 寂しいの?」 優しい声だった。 小首を傾げ少し遠くを見るように何かを考えてる。 「う~ん、そうだ! 一組の恋人たちの話をしよう」 そう言うと、何処に在ったのだろう、椅子を引き寄せ座り話し出した。
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