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   おれは破裂した!  テーブルを拳でドンと叩き、その勢いで立ち上がり腹の底から怒鳴りあげた。 「ふざけんなよ!」  全員がビクッと肩をすくめる。 「障害があるからダイチが嘘八百並び立ててるとでもいいてえのかよ。てめえ、いい加減なことぬかしやがると許さねえぞ!」  怒声に押された中川は山口にすり寄った。驚いたのだろう、口をわなわなさせて反撃してきた。 「な、なんですかあなたは。そんな怒鳴り声をあげて。暴力でもふるうつもりですか? 警察を呼びますよ、警察を」  しめた!  警察というワードを向こうから出してくれた。ここが勝負どころだ。この期に乗じて攻めたてた。   「警察だぁ? おもしろい。呼んでもらおうじゃないか」  そして、ドスンと音を立て座った。足を組み、両手をまた頭の後で組んだ。  中川はおれのハッタリだと思ったようで、さらにわめき散らす。 「嘘じゃありませんよ。本当に警察を呼びますよ」  今度はテーブルにひじを着き、両手を組んであごを乗せた。おれはニヤリと笑っていう。 「だから、呼んでもかまわないっていってんだろう。さっさと呼びなよ警察を。ちょうど良かったよ。ダイチへの障害事件として告訴するつもりだったからな」  
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