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   子どもたちと入れ違いに、ノックがした。久しぶりの客かも知れない。おれはオクターブ上げて、よそ行きの声を出した。 「どうぞ、開いてますよ」  ノブを回して入って来たのは、となりの弁護士の水嶋(みずしま) 瑠美(るみ)だった。なんだ……笑顔を落とすと、すかさず揚げ足を取られた。 「あー、今なんだって思ったでしょ」  ギクッ!  こうやっていつも先手を取られ瑠美のペースになる。まるでかかぁ天下だ。  懸命にとりつくろう。 「そ、そんなことないよ。ちょうど良かった、報告しなきゃいけないことがあるんだよ」  それでもまだ疑いのまなざしってやつを向けてくる。まるで、殺人ビームだ。おれは完璧な笑顔で応えた。冷や汗をたらしながらだけど。 「そんなところに突っ立ってないで、さ、さ、入ってくれよ先生」  まあ、いいわ。ため息をひとつ残し、ソファーに向かう。  瑠美は白の長袖のブラウスに、黒いタイトスカートという弁護士スタイル。ドッジボールのような胸は今日も健在。安全ピンを抜いた手榴弾のように爆発寸前だ。ブラウスのボタンが懸命に踏ん張ってる。  しかもタイトスカートは、前にスリットが入っているデザインだから、“縦ライン”が強調され、長い脚がむき出しだ。足もとはヒールの高い靴。踏まれたら痛そう。  このまま街中にキャッチで立てば、アリ地獄のアリのように、男どもは片っぱしに補食されるだろう。危険な女。だけど、美人だから許しちゃう、おれ。   
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