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  「あれから何かわかったの?」  ソファーに座ると反動で瑠美の胸が上下した。それを目で追うおれは、必死によだれを我慢して正面に座る。 「男の正体が分かったぜ」  一瞬、巨乳弁護士は目を丸くした。 「さすがね。スケベだけど仕事は早いわね」  ──スケベは余計だ。  それに、それって誉めてないだろう。  一応、今回のクライアントだから、いいたい文句を飲み込んで続けた。 「名前は、如月(きさらぎ) (しょう)。住所は福岡市中央区舞鶴二丁目──、舞鶴スカイマンション404号だ」    いいながら、メモ用紙に書いて瑠美に渡した。メモを右手に目の高さにあげる。彼女もおれと同意見だった。 「きさらぎしょう……まるで芸名みたいね」  おれはうなずいた。 「ただし、本名かどうかはわからない」  瑠美が軽くうなずき返す。 「それはわたしが調べるわ」  ──頼む、といっておれは続けた。  これからが本題だ。 「こいつはとんでもなくヤバイ野郎だぜ」  そんな男は数多く接して来たのだろう。一ミリの動揺も見せずに、メモ越しにいう。 「どんな風にヤバイの?」  おれはかいつまんで話した。  瑠美の依頼人の娘、矢羽田紗英はショウを応援しているらしく、自らお金を渡しているみたいだ。  ただし、ショウは紗英だけじゃなく、他にも複数の女と関係を持っているようだ。  極めつけは、由良組に出入りしている。少なくとも、カタギじゃない、と。  
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