ⅩⅩⅣ

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   やはり大知も眉を下げた。 「コタロも、お仕事で遠くにいくの?」  ……おれもというのは、母親と同じだと思っているのだろう。実際は母親とは懲役で会えないのだが、大知には仕事だとごまかしていた。だが、いずれ大知にも話さなければならない時が来るだろう。その事実を、大知がしっかりと受けとめてくれることを願うばかりだ。  大知の頭を撫でながらいった。 「また帰って来るから、それまで我慢してくれ」  だが、大知の興味はおれじゃなく、タケシだった。下を向くと拳を握りながら、つらそうにこぼした。 「じゃあ……タケシにも会えないんだね」  人間とネコという種を越え、まるで兄弟のように通じあい、たくさんの奇跡を見せてくれた二人だ。会えないのは淋しいだろう。それはきっとタケシも同じだと思う。  だけど、さよならだ──  おれは七海と大知の手をつなぎ直した。 「おれは居なくなるが、美香さんが変わらず二人をサポートしてくれるから、大丈夫だ。  これから七海と大知には、新しい生活が始まるんだぜ。たぶん、わくわくするような毎日になると思うよ。今までいけなかった場所にもいけるようになって、新しいいろんな経験も出来るだろうし、好きな学問をより深く、学べるようになるよ。そういうチャンスがやって来たんだ。  明日から始まる、新しい自分探しの旅を楽しんで欲しい」  
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