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「ほら、ひー君口開けてね。」
僕の女神様が艶やかな冷やし中華麺を箸で摘み上げると、僕のやる気のなく開いた口に突っ込む。見事に酸味のある中華ダレがそこら辺に飛び散り、ただでさえしつこいシミが落ちないカーペットが更に汚れた。
「……うまっ。」
でもこの床に寝転がって、ぐったりしながらやっさしい姉に食事を食べさせてもらうというのは少し幸福感があったりする。
本当この先、世の中色々と面倒になるだろうし死ぬまでずっと養って欲しい。
「やっぱり?
だってひー君は私の冷やし中華大好きだもんね!
これからも冷やし中華にするねー。
春は山菜、夏は普通、秋はスイートポテト風で、
冬にはあったかい冷やし中華にしよう!」
ごめんなさい、姉さん。
やっぱり、世の中は自分で生きていった方が良いと思います。決して姉さんが嫌いって訳じゃなくて、その冷やし中華擬きを食べるのが嫌なだけです。
「うーん、それにしても今日もひー君はぷくぷくしてて可愛いのね。
昔のちっちゃなひー君みたい!
なんかもっとご飯あげたくなっちゃう。」
そう言ってちょーご機嫌な姉は、僕に次々と冷やし中華を恵んでくださる。
確か僕が姉を神様、というよりは神様なんて信じてなかったので大切な人だとわかった時もこんな感じであった。
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