道連れ

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男は自分が所有している広大な敷地の真ん中で、それが到来するのを待っている。 男は糖尿病とその合併症により身体中に疾患を抱え何時死んでもおかしく無い身体であった。 男には彼の身体を労ってくれる家族も親しい友人も無く、ただ死を待つばかりの身である。 男の心残りは、自分を低学歴と嘲り成り上がり者と馬鹿にしている血の繋がりの薄い親族に遺産が渡る事であり。 多額の税金を納めているにも拘わらず、親族と同じように男を陰で嘲笑っている町の奴らに、相続税により多額の税金が渡る事であった。 だがその心配も今日で終わる。 男は天文学的に貯め込んだ金を、ある国の数人の軍高官と技術者に渡す約束をしていた。 彼らは自分が属している祖国から自由な国に逃げたがっていて、彼の目的が達成された時、金が眠っている外国の銀行の暗証番号が彼らに渡される事になっている。 男は腕時計で時間を確認し、ジェット戦闘機数十機に相当するような轟音が彼の耳に聞こえて来ると、空を見上げ笑い出した。
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